違約金1000円で携帯料金値下げは加速

政府が検討する携帯電話の利用料を巡る抜本対策が明らかになりました。

2年契約の途中で解約する際の違約金を現在の9500円から1000円以下にする。通信の継続利用を前提とした端末値引きを禁止し、継続利用を条件としない場合も2万円を上限とする。利用者が乗り換えやすく、安価な端末を選びやすい環境を整え、メーカーと携帯会社の双方に競争を促します。

政府は2019年6月11日、携帯料金を議論する総務省の研究会に抜本対策を示す。今夏をメドに答申をまとめ、秋までに省令を改正します。

菅長官はいよいよ値下げ競争が始まることで、今決めた料金プランも「どんどん変わっていくのではないか。国民が納得できるような方向に進んでいくと思う」との見通しを示した。

ドコモとKDDI、値下げは2019年6月1日開始

携帯電話大手のNTTドコモとKDDI(au)は、スマートフォン向け新料金プランの提供を6月1日、開始した。政府が携帯利用者の負担軽減を要請したことに応じ、月々の通信料を割安にした。両社とも家族での契約者の値下げを重視し、従来型のプランに比べて最大4割の値引きになるとしている。

 ドコモは秋ごろ施行する改正電気通信事業法に合わせ、端末代金と通信料を切り離した「分離プラン」を導入。端末割引を縮小する一方で通信料は引き下げ、家族3人以上で契約すれば2年契約で月1980円(税別)から利用できる。

 KDDIは分離プランを導入済みだったが、月7ギガバイトまでデータ通信が可能な中容量のプランを新設。低価格帯も月1980円(同)からとし、ドコモに対抗した。

4割値下げとなるのはデータ容量1GB未満のユーザーのみ

ドコモは新プランに加入すれば、現在より最大で4割安い月額1980円から利用できると発表した。だが、ハードルは高い。対象はスマホを利用する月間データ利用量が1ギガバイト以下の顧客に限られ、2年継続や家族3人での加入契約も条件となる。それ以外は2~3割値下げにとどまる。

格安スマホ向けなどを除いたドコモの契約者は約5千万人。このうちスマホの利用者は4100万人とみられ、データ利用量が1ギガバイト以下の契約者は約1600万人にすぎない。「ガラケー」と呼ばれる従来型携帯電話の利用者や、1ギガバイトを超えるデータ利用者の合計3400万人は4割値下げの対象外となる。

今回の値下げは通信料金が対象で、端末購入代金は含まれない。吉沢和弘社長は「(データ利用量が1ギガバイト超を含め)スマホ利用者の8割の人が3割以上の値下げになる」と主張しているが、ドコモは端末購入補助を縮小するため、購入代金は現在よりも上昇する。

最も値下げの恩恵を受けられるデータ容量が1ギガバイト以下の利用者でも端末代と通信料金を合算した2年間の総額では1割前後しか安くならない計算となる。

データ使いすぎ回避困難

そもそも最大4割の値下げの恩恵の対象となるデータ利用量が1ギガバイト以下の契約者は、今後減少していく可能性が高い顧客層です。

総務省によると、消費者のデータ利用量は毎年1.2倍のペースで増えている。データの使いすぎを抑える現在の仕組みも緩和され、ドコモのデータ利用による収入は増える見通しです。

ドコモが新プランで用意したのはデータ利用量が最大30ギガバイトの「ギガホ」、1~7ギガバイトの「ギガライト」の2つ。ギガライトでは1ギガバイトから7ギガバイトまで4段階で利用量に応じて料金が1千円ずつ上がります。

現プランは契約した利用量に達すると、料金が変わらないまま通信速度が制限される。一方で新プランのギガライトは7ギガバイトに到達するまで速度は変わらず料金が上乗せされるため、データの使いすぎを回避しづらくなります。

20年には次世代通信規格「5G」のサービスも始まり、この間に現在は1ギガバイト以下の顧客のデータ利用量が増える可能性がある。1ギガバイトはネットの動画配信を標準画質で約1時間見ただけで使い切る水準です。

ドコモ関係者は「値下げで落ち込む収益を(データ容量の多い)より上位のプランに誘導して早期に回復させる」と打ち明けます。

市場はドコモの新プランの曖昧さの本質を見抜いている。菅義偉官房長官が「4割程度下げる余地がある」と値下げを迫った18年8月にドコモの株価は急落したが、新プランを発表した19年4月15日以降は回復傾向です。

携帯料金値下げをめぐる各社の対応はばらつき

  • NTTドコモ:通信量を最大で4割引き下げ
  • KDDI:データ使用量1ギガバイトまでなら月額1980円
  • ソフトバンク:料金調整は微調整にとどまる
  • 楽天:違約金なしを示唆

ドコモは1日から通信料を最大で4割引き下げる新たな料金プランを提供し、KDDIも同日からデータ使用量1ギガ(ギガは10億)バイトまでなら月額1980円で使えるプランを始めた。ともに9500円の違約金が前提で、今後見直される可能性があります。

一方、ソフトバンクは楽天参入の影響を測りつつ場合により値下げに動く見通しだ。傘下の格安ブランド「ワイモバイル」で低価格帯の需要に対応し、料金の変更は微調整にとどめるとしていたが料金戦略の見直しを迫られる。通信各社が固定回線とのセットなどで、新たな囲い込みに動く可能性もあります。

端末割引の上限2万円という方針も各社の販売施策に影響を与える。回線契約の継続を前提に端末の分割料金の一部を免除するKDDIやソフトバンクの「4年縛り」は見直しを余儀なくされます。

ドコモが新たに始めたスマートフォンの端末代金の支払いを最大で3割免除する販売方法も場合によって修正が必要になりそうです。