携帯電話2年縛り廃止になる?

総務省は2019年6月11日、携帯電話の2年契約を途中解約した場合の違約金について、上限を1000円とする省令改正案を、有識者で構成する「モバイル市場の競争環境に関する研究会」(モバイル研究会)に示しました。

NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクのキャリア3社の違約金はいずれも9500円で、利用者が乗り換えを検討する際のハードルになっています。これを1000円に大幅に引き下げさせることで競争を促し、携帯料金を安くすることが狙いがあります。

総務省によると、携帯会社のシェアは昨年12月末時点で、ドコモが38・1%で首位。KDDIが27・5%、ソフトバンクが22・9%と続いた。格安事業者は11・5%です。

携帯電話2年縛り廃止いつから?

携帯違約金1000円へ値下げの施行は2019年10月ごろからの見通しで、素案をたたき台にして、今後の会合で正式な金額や詳細なルールを詰めていきます。

違約金上限1000円という金額は、総務省が5月に6000人を対象に行ったアンケート調査で、8割の人が許容できると回答した金額です。

違約金は1000円まで、根拠はアンケート

総務省の料金サービス課によれば、1000円という額を提案する根拠となったのは、総務省が実施したアンケート結果です。

消費者を対象に実施したところ「1000円であれば携帯電話を乗り換える」といった回答が約8割存在することから、違約金の上限を1000円と提案することになりました。

アンケートの内容は追って公開する予定とのことですが、11日の会合では委員から「アンケートは根拠が十分なのか?」という指摘はあったものの、現状の9500円という金額から下がること自体は否定されず中には「1000円ではなく0円でも良いのではないか」といった意見もあったといいます。

また、期間拘束の有無による料金プランの差額「1カ月あたり170円」という点については、現状の料金プランと9500円という違約金の金額をもとに算出しました。

現在は、期間拘束があるプランと、ないプランを比べると1カ月あたり1500円という差があるが、これは6カ月以上、利用する場合、期間拘束ありのほうがオトクになります。

 「6カ月利用すれば期間拘束ありのほうがオトクになる」という形を、「違約金が1000円の場合」に当てはめる(1000円÷6カ月)と、1カ月あたり約166円となり、四捨五入して170円という額を導き出しました。

2年縛りのビジネスモデルを廃止に?

キャリア各社は違約金だけでなく、期間拘束のないプランの料金を月額1500円~2700円高く設定することで、利用者を囲い込みやすい2年契約に誘導しています。

総務省はこれに対して規制をかける方針で、差額の上限を170円とする案も示しました。さらに、長期契約者を過度に優遇するようなポイントの付与も規制対象とする見通しです。

2018年8月に菅義偉官房長官が「携帯料金は今より4割下げる余地がある」と発言して以降、急ピッチで通信政策の改革が進められています。

今回は、通信契約と端末販売のセット割引を禁止する改正電気通信事業法(2019年5月成立、施行は2019年秋から)に続く大きな制度改正となります。

違約金が大幅に引き下げられれば、2年契約という期間拘束を前提としたキャリアのビジネスモデルは事実上、完全に破壊されることになります。

1000円程度の違約金や月額170円の料金差では、2年契約はほとんど意味を成さないからです。今後は2年契約などの期間を設けたプラン自体がなくなる可能性もあります。

利用者の囲い込みを前提としてきたキャリア各社は、料金プランや販売手法などの戦略の大幅な見直しを迫られることになりそうです。

2年縛り廃止で通信料金はどうなる?

キャリア各社は通信契約を獲得するうえで、さまざまなコストをかけています。例えば、店頭での説明には1時間ほどかかることもあり、販売代理店の人件費としてはね返ります。

これらはキャリアが代理店に支払う契約獲得のインセンティブ(報酬)や手数料、支援金などの費用の中に含まれています。

今でも契約時に多少の事務手数料を取っているとはいえ、これまでは2年契約の利用者に対し、獲得コストを大きく転嫁することはなかったはずです。

それは、2年間ほぼ確実に入ってくる月額の通信料金収入があれば、多少の初期費用は十分にペイできる計算が立ったからです。だが、2年契約がなくなれば、前提が変わってきます。

違約金の上限が1000円に決まると、どうなるか。普通に考えれば、大手3社は2年契約を条件とした割引を縮小せざるを得なくなります。

大手3社は現在、2年契約を条件に通信料金を月1500~2700円引きとしているが、違約金の上限が1000円では月100~200円の割引が精いっぱいでしょう。

2年縛り廃止以外にも端末割引は上限2万円、キャッシュバックやポイント付与は禁止

一方、完全分離プラン関連のほうでは、端末割引の上限を2万円にするという提案となりました。

これは、通信回線を継続して利用する、つまり回線契約と端末販売がセットになるケースを想定したものです。省令案では、あわせてキャッシュバックやポイント付与も一律で禁止する形です。

ただし、2万円以下の廉価な機種は「0円以下にならない範囲は可」、つまりという1円という値付けまでであれば提供できます。

いわゆる型落ち機種については、規制の例外にすることが案に含まれているが、こちらは11日の会合では議論されておらず、詳細は検討中とのことです。

3G端末からの移行といった通信方式の変更・周波数の移行のためのスマートフォンの提供については、0円未満とならない、つまり0円で販売してもOKという形の案となっています。