携帯電話違約金1000円いつから

総務省は、携帯電話の「2年縛り」解約で発生する違約金(9500円)を1000円に引き下げる案を11日の有識者会議に示した。現在はまだ確定的ではありません。

携帯電話会社を乗り換えやすくし、競争を促すのが狙いがあります。これは高額な違約金を低減することで、安価な料金を提示した会社に乗り換えやすくするためのもの。今夏をメドに答申をまとめ、秋までに省令を改正するとしています。

早ければ今秋以降、違約金が1000円以下となれば「利用者は乗り換えが自由」となります。

携帯電話違約金1000円本当に2019年秋に実現する?

2018年8月21日に内閣官房長官の菅さんが「携帯料金は4割下げる余地がある」と発言してから実際にドコモ(docomo)の4割値下げのキャリアプランが発表されたのが2019年4月15日です。実質的に発言から8ヶ月以上も遅れています。

今回の違約金1000円もその程度時間がかかるのではないかという予想はつきます。今回発表されたのが2019年6月初旬ですので、同じ理屈で考えると2020年2月あたりまで待つ必要があります。

携帯電話違約金1000円になるのはなぜ2019年秋?

10月の楽天携帯参入を見据え、携帯キャリアを乗り換えやすくする狙いがあります。

大手3社は今年10月の楽天モバイル(東京)の携帯参入にも神経をとがらせています。楽天の登場で値下げ競争に拍車が掛かるのは確実です。

さらに、多様なサービスが顧客引き留めの鍵を握る中、楽天グループはインターネット通販を核に銀行、証券、電子マネー、旅行といったサービスで実績があります。

1億人以上の会員数を抱え、「楽天経済圏」とも呼ばれる同社に対抗するため、携帯大手は「異業種と協力し、サービスの質を高める」(中堅幹部)戦略も視野に入れる。非通信分野の新サービスを購入した顧客にポイントを付与し、通信料値引きに充てる動きが加速する可能性もあります。 

携帯電話違約金1000円だけでない端末割引規制も視野に

端末の過剰な値引きも規制します。通信料が原資になっており、頻繁に携帯を買い替える一部の利用者ばかりが恩恵を受ける仕組みを是正します。

これまでの端末料金は、家電量販店などの場合、契約後利用者が支払う通信料を見込んで、携帯端末を安く販売する仕組みがあります。

しかし、こうした割引販売の元手には、端末を買い換えない人たちが支払っている通信料も補填されているとして、不公平だという意見が相次いでいました。

いまは通信契約を条件に最大半額になるケースもありますが、秋以降は値引きの上限を一律2万円とする方向です。2年間の時限措置とし、各社の販売価格が正常になったと判断すれば、上限を撤廃する方針です。

端末値引きの上限で示した2万円は、携帯大手が利用者1人から得られる利益の範囲内に収まる金額が根拠です。ただ、将来の通信料金の値下がりを見越して算出しているため、有識者から妥当性を問う声が出ました。

本体価格12万円のiPhone XSは、店頭での割引をフルに活用しても10万円にしかなりません。

端末の割り引き上限を2万円とする根拠は?

通信役務の継続利用を条件とする端末代金の割引は禁止しますが、単に通信役務の利用を条件として割り引く場合については、2万円を上限とします。

ARPUと事業者の利益率、利用者がスマートフォンを使う平均期間を勘案して計算すると、約3万円になります。これはドコモさんが出した数字ですが、現行の市場環境を踏まえたものなので、(今後)競争が活性化する期待を込めて、より厳しい基準で2万円としました。

ドコモは割引額の上限について、5月30日の第13回会議で「3万円」という具体的な数字を出した

携帯電話違約金1000円になるとどうなる?

携帯電話違約金1000円実施されれば、利用者は携帯会社の乗り換えが容易になります。9500円もの違約金では割高ですので乗り換えがしずらいですが、1000円と安い違約金であれば乗り換えする懸念材料がなくなります。

違約金が1000円以下になることで、ユーザーがやめやすくなり、各社獲得合戦が盛り上がります。その影響で、新しい料金プランもいっぱい出てくる可能性があります。

しかし、値下げ競争が激化すると、新たな懸念もあります。各社の料金プランというものが複雑化して分かりにくくなる可能性が十分あります。

「クレジットカードを契約したら安くする」、「固定回線を契約すれば安くしますよ」とか、逆に変更しにくくなる可能性が出てくる可能性があります。

携帯電話違約金1000円となった場合、携帯各社は不都合

携帯電話違約金1000円となると携帯各社は顧客流出に危機感を抱きます。携帯各社は、値下げ競争に加え、金融サービスや、映像などのコンテンツ販売といった非通信分野に力を入れて別の面でカバーしていかなければなりません。

携帯電話違約金1000円に引き下げる法案が浮上した理由は?

総務省の「家計調査」によると、1世帯あたりの1年間の携帯電話料金は、2017年に初めて10万円を突破しています。6年前と比較すると、約2万円上昇しています。

こうした中、2018年8月に菅官房長官は「携帯料金を4割程度下げる余地があるのではないか」と発言しました。2019年5月には、国会で顧客の過度な囲い込みを禁じる改正電気通信事業法が成立しました。

途中解約の違約金を大幅に引き下げる事で各社の競争を促し、携帯料金の値下げなどに繋げる考えです。

違約金の引き下げに伴い、2年契約での通信料の割引も月額170円以内に規制します。携帯端末については、通信契約の継続を条件とした割引を一律禁止します。

2年契約時の割り引き額を「月額170円」に制限する根拠

大手3キャリアの主要なプランで、期間拘束のあるプランとないプランの差がだいたい月額1500円です。解約金の9500円を1500で割ると、約6.3になります。つまり6カ月以上使う人なら、期間拘束プランに入った方がお得になります。

そこで、解約金が1000円になった場合、1000を6で割り、(約167だが)切りよく170円としました。このように、170円という数字は、現行の解約金との関係がベースになっています。

長期利用割引や自動更新も規制

長期利用割引についても規制を設ける。長期利用者を対象とした過度な割引は「契約の解除を妨げる条件に該当する」と見なし、一定の制限を加える考え。許容される割引の範囲は「1カ月分の料金」だとしました。

 契約の自動更新については「契約時にユーザーが選択できること」「契約時の選択にかかわらず条件が同じこと」「契約満了時にユーザーが更新するかを選べること」「解約金なしの更新期間が3カ月設けられていること」のいずれかを満たさない場合は禁止します。

3キャリアとも、解約金のかからない期間を3カ月にしている

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携帯電話違約金1000円ではない現状の9500円は乗り換えにくい

顧客が携帯会社を乗り換えにくい要因のひとつが、高額な違約金です。NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクの大手3社は、2年契約をすれば毎月の通信料が安くなる「2年縛り」の途中で解約した場合の違約金を9500円としています。

違約金なしにいつでも解約できるプランもありますが、「2年縛り」より通信料が月1500~2700円も高く、ほとんどの利用者が2年契約を結んでいます。

総務省が調査したところ、約8割の人が1千円であれば違約金を許容できると回答したので今回の1000円に違約金引き下げ案が出ています。

解約金の上限を1000円とすることで、料金がかえって値上がりする恐れはない?

キャリアの現行プランは、通信料金と端末料金がセットになっていて分かりづらい。2年縛りや期間拘束の囲い込みが行われており、端末と通信それぞれが活性化されていないことを問題視しています。

そこで法改正をしたわけですが、その柱は「通信と端末の分離」と「期間拘束の囲い込みを防止すること」です。違約金を1000円とするのも、囲い込みを減らし、選択肢が広げるためです。通信と端末の競争それぞれが活性化して、競争によって値段(端末代と通信料)は下がっていくと考えています。

電気通信事業法の改正案。「通信と端末の完全分離」と「行きすぎた囲い込みを是正する」旨が左側の1点目に明記されている

携帯電話違約金1000円だけでない端末割引規制で端末購入がしずらくなる

携帯電話違約金1000円でユーザーは他社に乗り換えやすくなるなり、端末の実際の価格水準が分かりやすくなるというメリットが受けられますが、キャリアは端末メーカーに対し卸売価格の引き下げに圧力がかかると予想されます。

秋までに施行されるのであれば、気になるのはiPhoneの販売価格。一括で購入すると10万円以上もする最新端末が気軽に毎年購入できる最大の理由は通信キャリア各社が値引きをしてくれていたからであり、これらが制限されるとなると購入のハードルが高くなると予想されます。

現状、「iPhone XS」の新規購入は実質6万円を程度で販売されている場合がありますが、割引額が2万円までに制限されることにより、店頭価格は10万円に高止まりする可能性があります。

端末割引規制で端末を携帯会社で売る意味はなくなる

端末割引の規制は、楽天を含む携帯電話4社と、利用者100万人以上の格安スマートフォン会社が対象です。

規制の影響で、特に大手携帯電話会社とメーカーの関係が変わります。これまでメーカーは、大手携帯電話会社が値引きにより大量に販売することを前提に、優先的に大量の端末を卸してきました。

しかし、今回の規制は通信契約の縛りの禁止に近く、通信契約を縛れないなら、携帯会社が端末を売るメリットがなくなります。

端末メーカー側も直販に乗り出す可能性が高まり、在庫リスクを自ら負うことになります。個人ユーザーにとって、携帯会社を乗り換えやすくなる半面、携帯電話会社にとっては厳しい規制となります。携帯電話会社が長期契約を見越した料金プランを作れなくなり、結果的に、通信料自体が高くなる可能性もあります。

格安SIMも改正法の対象?

改正法の禁止行為の対象となるのは、MNOと、その特定関係法人(UQ mobile、LINEモバイル、BIGLOBEモバイルなど、MNOのグループ会社が運営するサブブランド)。その他のMVNOについては、利用者数が100万を超える事業者も対象とします。

違約金1000円は無理な行政指導?

そもそも2年「以上」使うことを前提に、値引きするのは、賃貸不動産やリースなど他の分野でも存在する普通の商習慣であります。その契約を途中で解約するのに一定の解約料(違約金)が発生するのも不思議はありません。

また、乗り換えが簡単になれば、携帯会社が2年契約プランの維持よりも、他社からの乗り換え獲得に営業の軸足を移さざるを得ないのではないかと見る向きもあります。

そうなると、一気に営業コストが跳ね上がるため、そうした消耗戦は長続きしないでしょう。遠からず、通信料の上昇を呼ぶリスクがあります。

関連して言えば、長期利用者への値引きやポイント付与に上限を設けるというのも懸念材料だろう。払った通信料が頻繁に端末を買い替える人への販売奨励金に充てられて割を食っているとされながら、長期利用していればよいこともあると我慢してきたのが、このタイプの利用者だからです。

突然、政府の指示によって長期利用の見返りはなくすことになったと言われれば反発が出ても不思議はありません。

すべての利用者がコロコロ携帯電話会社を乗り換えるのが競争政策だと考えているとすれば、不安は増幅する。価格も含めて安心して長く使えるプランのある市場こそ面倒がなくて良いと考える利用者は少なくないはずです。

携帯電話市場では長年、総務省が料金制度の透明化や料金水準の引き下げを求めても、携帯電話会社が黙殺を繰り返してきた歴史があります。

それだけに、今回は、官邸の後ろ盾を得て法改正までして行う、満を持しての値下げ指導とあって、総務省はおおいに張り切っているようです。

選挙を控えた与党の参議院議員の中には、携帯の解約金をほぼ10分の1の1000円に下げたと政策運営の手柄を訴える材料がほしい向きも多いでしょう。

しかし、こうした料金政策の基本は省令による直接規制や業務改善命令ではありません。競争が起きやすい環境を整備して、事業者間の競争を促すことが政策の基本である。市場メカニズムを無視して、お役人が料金水準を決めても、経済合理性が無ければ遠からず破たんします。

しかもNTTドコモとKDDIは、電気通信事業法の改正方針が出た段階で制度変更を先取り、第4の携帯電話事業者・楽天の新規参入も睨んで、値下げ方針を打ち出していました。

新料金は6月から実施したばかりである。この秋に、新省令に合わせて、また料金を変えろと命じられるのは想定外で、コストがかさむため衝撃を受けているようです。